大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

名古屋地方裁判所 昭和58年(わ)717号 判決

裁判所書記官

吉田利彦

本店の所在地

愛知県小牧市多気西町三六番地

法人の名称

株式会社新光工業所

代表者の住居

愛知県小牧市多気北町一二七番地

代表者の氏名

野口登

本籍並びに住居

愛知県小牧市多気北町一二七番地

職業

会社員

氏名

野口和枝

昭和一八年二月八日生

右株式会社新光工業所並びに野口和枝に対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官中松村夫並びに国選弁護人八木眞各出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。

主文

被告人株式会社新光工業所を罰金七〇〇万円に、被告人野口和枝を懲役六月に各処する。

被告人野口和枝に対し、この裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。

訴訟費用は被告人両名の連帯負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告人株式会社新光工業所(以下「被告会社」という。)は、愛知県小牧市多気西町三六番地に本店を置き、自動車塗装ライン設備業等を営むもの、被告人野口和枝は、被告会社の代表取締役社長野口登の妻で、被告会社の経理事務全般を統括するものであるが、被告人野口和枝は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て

第一  昭和五五年四月一日から同五六年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が九、四三四万二、七四七円で、これに対する法人税額が三、五三二万一、一〇〇円であるのに、架空の材料仕入費を計上する方法により所得の一部を秘匿したうえ、同五六年六月三〇日、同市大字小牧一九五〇番地所在の小牧税務署において、同税務署長に対し、所得金額が五、七九〇万七、一七八円で、これに対する法人税額が二、〇七六万三、九〇〇円である旨の虚偽過少の法人税確定申告書を提出し、被告会社の右事業年度における正規の法人税額との差額一、四五五万七、二〇〇円を免れ

第二  同五六年四月一日から同五七年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が六、〇五九万五、九九八円で、これに対する法人税額が二、二四五万三、九〇〇円であるのに、期末在庫の一部を除外する等の方法により所得の一部を秘匿したうえ、同五七年六月三〇日、前示小牧税務署において、同税務署長に対し、所得金額が三、三二九万七、九二三円で、これに対する法人税額が一、一〇九万四、七〇〇円である旨の虚偽過少の法人税確定申告書を提出し、被告会社の右事業年度における正規の法人税額との差額一、一三五万九、二〇〇円を免れ

もって、いずれも不正の行為により法人税を免れたものである(修正損益計算書、ほ脱所得の内容、修正製造原価報告書、製造原価報告書の科目調べ及び脱税額計算書は別紙のとおり)。

(証拠の標目)

判示全部の事実について

一  被告人野口和枝の

1  当公判廷における供述

2  上申書二通(検乙第一及び第二号証)

3  大蔵事務官に対する質問てん末書五通(検乙第三、第四、第八ないし第一〇号証)

4  検察官に対する供述調書二通(検乙第一一及び第一二号証)

一  被告会社代表者野口登の

1  当公判廷における供述

2  検察官に対する供述調書(検甲第三二号証)

一  杉山禎作こと洪鐘鶴(二通)、青山ふさ子、小川智子、別司秀雄、大原昇、平児礼一の大蔵事務官に対する各質問てん末書(検甲第二三、第二四、第二五、第二八ないし第三一号証)

一  長谷川周義作成の上申書(検甲第九号証)

一  小牧税務署長大蔵事務官鈴木清彦作成の証明書三通(検甲第七、第三四及び第三五号証)

一  名古屋国税局収税官吏大蔵事務官岡山幹守作成の脱税額計算書説明資料(検甲第八号証)

一  右同大蔵事務官桝井文美雄作成の査察官調査書五通(検甲第一〇ないし第一四号証)

一  右同大蔵事務官山内義隆作成の写真撮影報告書(検甲第三三号証)

一  登記官坪井久雄作成の登記簿謄本(検甲第一号証)

判示第一の事実について

一  被告人野口和枝の大蔵事務官に対する質問てん末書(検乙第六号証)

一  魚住隆正(二通)、谷クニ(二通)の大蔵事務官に対する各質問てん末書(検甲第一九、第二〇、第二六及び第二七号証)

一  小牧税務署長大蔵事務官鈴木清彦作成の証明書三通(検甲第二、第四及び第五号証)

判示第二の事実について

一  被告人野口和枝の大蔵事務官に対する質問てん末書二通(検乙第五及び第七号証)

一  青木培太郎、渡部利是の大蔵事務官に対する各質問てん末書(検甲第二一及び第二二号証)

一  ミツヤ商会杉浦実、フジカケ鐵鋼株式会社代表取締役藤掛志寿恵、営業係長渡辺仁千雄、株式会社油伝商店取締役社長近藤伝六、常務取締役伴光男、進英産業株式会社専務取締役吉田英志作成の各証明書(検甲第一五ないし第一八号証)

一  小牧税務署長大蔵事務官鈴木清彦作成の証明書二通(検甲第三及び第六号証)

(法令の適用)

被告会社の判示第一及び第二の各所為は、法人税法一五九条一項、一六四条一項に該当するので、情状により同法一五九条二項を各適用し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから同法四八条二項により各罪につき定めた罰金の合算額以下において被告会社を罰金七〇〇万円に処し、被告人野口和枝の判示第一及び第二の各所為は法人税法一五九条一項に該当するので、所定刑中懲役刑を各選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから同法四七条本文、一〇条により犯情の重いと認められる判示第一の罪の懲役刑に法定の加重をした刑期の範囲内で、被告人野口和枝を懲役六月に処し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。訴訟費用は、刑事訴訟法一八一条一項本文、一八二条により被告人両名の連帯負担とする。

よって主文のとおり判決する。

(裁判官 早瀬正剛)

修正損益計算書

自 55.4.1

至 56.3.31

〈省略〉

〈省略〉

修正損益計算書

自 56.4.1

至 57.3.31

〈省略〉

〈省略〉

ほ脱所得の内訳

自 55年分

至 56年分

〈省略〉

56/3期の調査による57/3期の事業税の計算

〈省略〉

○ 未納事業税認定額(C)-(A) 19,165,760円-7,164,540円=12,001,220円

(注) 修正申告税額にかかる事業税 13,854,360円は昭57/3期確定申告において損金経理済。

○ 犯則所得にかかる認定額(C)-(B) 19,165,760-13,854,360=5,311,400

〈省略〉

修正製造原価報告書

租税犯の類型

過少申告脱税犯

自 昭和55年4月1日

至 昭和56年3月31日

〈省略〉

修正製造原価報告書

租税犯の類型

過少申告脱税犯

自 昭和56年4月1日

至 昭和57年3月31日

〈省略〉

製造原価報告書の科目調べ

昭和56年3月31日期

〈省略〉

製造原価報告書の科目調べ

昭和57年3月31日期

〈省略〉

〈省略〉

〈省略〉

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例